ごあいさつ
年一決算のみの税務サービスを提供している税理士法人加美税理士事務所の税理士 川畑英之と申します。
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年商2,000万円超の法人・事業者様向け:税務調査のリスクと実践的な対応策
売上規模が年商2,000万円を超える法人や個人事業主様は、税務署による税務調査の対象となる可能性が高まります。特に「顧問契約なしで、決算のみ税理士に依頼しているケース」では、申告内容の不備や書類管理の甘さから調査リスクが増すこともあります。
本記事では、決算のみの税務サービス(いわゆる“年一決算”)を利用している事業者様に向けて、税務調査が入りやすい状況や事前にできる現実的な対策、実際に調査が入った際の流れと当日のポイント、さらには調査後の適切なフォロー方法まで、税理士の視点でわかりやすく解説します。
たとえば、freeeやマネーフォワードなどのクラウド会計ソフトで経理を自社処理している場合、「経費の計上ミス」や「消費税の処理の誤り」などがよくある調査トリガーになります。特に法人税や消費税の申告においては、帳簿や領収書などの必要書類の保管状況も厳しくチェックされます。
「決算のみ 税理士」で依頼を検討中の方は、税務調査に備えた決算対策が可能な税理士を選ぶことがリスク軽減の第一歩です。費用がリーズナブルでも、調査に強い税理士が対応すれば、調査対応の負担や不安を大きく軽減できます。
本業に集中しながらも安心して経営を続けるために、必要な知識と準備を整え、万が一の税務調査にも冷静に対応できる体制を築いていきましょう。
1. 税務調査を受けやすいケースと事前対策
税務署に目をつけられやすいのはどんなケースか?
税務調査は無作為に行われるわけではなく、「申告内容に何らかの違和感がある」「数値に不自然な傾向が見られる」場合に優先的に選ばれる傾向があります。ここでは、年商2,000万円超規模の法人や個人事業主様において、税務調査の対象となりやすい代表的なケースと、その対策を解説します。
- 売上規模が大きく、黒字が続いているケース
売上高が拡大し、年商1億円以上の法人や事業者で継続的に黒字を計上している場合、税務署は「申告内容の正確性」をチェックするために調査を行う可能性が高まります。特に顧問契約なしで「決算のみ税理士」に依頼している場合、税務署は申告体制の脆弱さを懸念することがあります。
- 利益率に極端な偏りがあるケース
売上に対して利益率が異常に高い、または逆に必要以上に低いと判断される場合、経費計上の誤りや意図的な調整を疑われる恐れがあります。
たとえば、クラウド会計ソフト(freee、マネーフォワードなど)を使って自社で記帳している場合、「固定費の振り分けミス」や「家事関連支出の混在」により、利益率が実態と乖離してしまうことがあります。
- 売上が毎年、消費税の課税基準ギリギリで推移しているケース
たとえば、毎年の売上が900万円台で推移している場合、「消費税の免税を狙った過少申告ではないか」という視点で調査対象となることがあります。
仮に意図的な調整があったと判断された場合、重加算税や延滞税を含めた多額の追徴課税が発生するリスクがあります。
- 取引データと申告内容が合致していないケース
Amazon、楽天などECモールを利用しているネット販売業者の場合、プラットフォーム上の売上データと、申告書の数値に差異があると「売上除外」を疑われる可能性があります。
また、帳簿と銀行口座の入出金明細に大きなズレがある場合も、申告漏れや現金売上の計上忘れが疑われます。
- 経費計上に私的な支出が混在しているケース
プライベートな出費(家族旅行、住宅関連費、過剰な交際費など)を事業経費に含めてしまっている場合、税務署からは「業務実態に即していない」と見なされ、重点的な調査の対象になりやすくなります。
特に、決算時のみの処理で経費をまとめて見直す場合、こうした支出の分類ミスが見落とされがちです。
事前にできる現実的な対策とは?
税務調査のリスクをゼロにすることはできませんが、「帳簿の整備」「証憑類の保存」「経費の妥当性の確認」など、日常的な対応の質を高めることでリスクは大幅に低減できます。
とくに「決算のみ税理士」に依頼される場合は、申告直前に慌てないよう、freeeやマネーフォワードと連携した仕訳の見直しや、経費処理の根拠となる領収書・契約書類の整理を早めに行うことが重要です。
年商が2,000万円を超える規模になると、調査時に指摘される金額も大きくなりがちです。「手間を減らすために税理士に任せたはずなのに、結局高額な追徴税で損をした」という事態を避けるためにも、税務署がどこを見てくるのかを理解し、適切な申告と証拠の残し方を意識しておくことが、経営の安定につながります。
税務調査に備えて事前にできる実践的な対策の具体例
税務調査の対象になりやすいポイントを把握したうえで、日常的な対策を講じておくことが、最も有効な予防策です。以下の対策を実践することで、調査リスクを下げるだけでなく、いざという時も落ち着いて対応できる体制を整えることができます。
- 帳簿の正確な記帳と整備
売上や経費などの取引を、もれなく正確に記帳することは税務調査対策の基本です。会計ソフト(freee、マネーフォワード、弥生会計など)を活用することで、仕訳のミスを減らし、帳簿の信頼性を高められます。
特に「決算のみ 税理士」に依頼する場合、日々の経理処理の質が申告内容に直結するため、売上台帳・仕入帳・現金出納帳などを整備しておくことが重要です。青色申告なら複式簿記に対応した記帳が必須となりますので、帳簿の形式にも注意しましょう。
- 領収書・請求書など証憑類の整理と保管
税務署は、経費の妥当性を確認するため、領収書・請求書・契約書類などの証拠資料(証憑)の提示を求めます。青色申告であれば、通常7年間の保存義務があります(一定条件で5年)。
業務で使っている資料や書類は、ファイルまたはスキャンしてデータ化し、いつでも確認できる状態にしておくと安心です。freeeやマネーフォワードでは、領収書をスマホで撮影して保管する機能も便利です。
なお、やむを得ず領収書が入手できなかった場合には、日付・金額・用途を記録した支出メモを作成しておくことで、ある程度代替可能なケースもあります。
- 申告書・決算書のセルフチェック
確定申告書や決算書を提出する前に、数値に不自然な偏りや記載ミスがないかを必ずチェックしましょう。
たとえば、同業他社と比較して異常に利益率が高い/低い、売上に対する人件費や交際費の割合が極端、などは税務署から疑義を持たれる可能性があります。
freeeやマネーフォワードのダッシュボードやグラフ機能を活用すれば、傾向や異常値を視覚的に把握しやすくなります。不安があれば税理士に相談し、必要に応じて修正申告や仕訳の見直しを検討しましょう。
- スポットではなく顧問契約も視野に入れる
「決算だけお願いしたい」という方にとって、顧問契約は費用が高いという印象があるかもしれません。しかし、月次の確認や節税提案、資金繰りアドバイス、税務署対応の相談窓口として、顧問税理士の存在は極めて心強いものです。
仮に顧問契約を結ばない場合でも、「決算のみ 税理士」との連携時に帳簿や資料のチェックを定期的に依頼できるプランを活用すれば、安心感を得ながらコストも抑えられます。会計事務所によっては、格安でスポット相談やレビュー対応を提供している場合もありますので、相場を比較して自社に合った契約スタイルを検討しましょう。
- 現金取引の管理を徹底する
店舗業や対面販売などで現金を扱う場面がある場合、その管理は特に注意が必要です。現金は記録が曖昧になりやすく、申告漏れや使途不明金と見なされやすい項目です。
現金出納帳を使って日々の入出金を記録し、レシートや領収書と対応づけて保管しましょう。事業用と私用の現金を明確に分けておくことも、税務署に説明する上で大切なポイントです。
これらの対策は、税務調査の“入り口”を防ぐための備えであると同時に、正しい経営判断をするための土台にもなります。
「決算のみで税理士に依頼したい」「費用は抑えたいけれど、不安は残したくない」とお考えの事業者様こそ、帳簿の精度や証憑の整備を徹底し、必要に応じて専門家に相談できる体制を整えておくことをおすすめします。
2. 税務調査の基本的な流れ:事前通知から当日対応までのポイント
税務署から突然の連絡があっても慌てず対応できるように、税務調査の一般的な流れと必要な準備事項を事前に理解しておくことが重要です。
「決算のみ税理士に依頼しているからこそ、事前準備と対応のポイントを把握しておくこと」は、調査リスクへの備えとして非常に効果的です。
以下では、税務署からの連絡を受けてから当日の対応まで、事業者様が押さえておくべき基本ステップを、税理士の視点からわかりやすく解説します。
税務署からの事前通知はどう行われるか?
税務調査は突然実施されるイメージがありますが、多くの場合は事前に税務署から日程調整の連絡が入る「予告調査」です。一般的には、調査日の2~3週間前に、税務署の担当者から電話または書面で連絡があります。
連絡先は、基本的に納税者本人(法人であれば代表者)宛てとなりますが、すでに税理士へ税務代理を依頼している場合、「税務代理権限証書」の提出があれば税理士が窓口として連絡を受けることも可能です。
これは、税務署と直接やり取りする負担を軽減できるため、「決算のみ税理士」にスポットで依頼されている場合でも、安心材料の一つです。
事前通知で伝えられる内容
調査の事前通知では、以下のような項目が口頭または文書で伝えられます:
- 調査を実施する旨(任意調査であること)
- 調査予定日・調査期間(通常1~2日程度)
- 調査場所(事務所・自宅兼事務所・税理士事務所など)
- 対象税目(法人税、消費税など)と対象年度(通常3期分程度)
- 当日までに準備しておくべき帳簿・書類の概要(申告書・会計帳簿・請求書・通帳など)
freeeやマネーフォワードなどのクラウド会計ソフトを利用されている場合は、データの出力形式や保管方法にも注意が必要です。調査官が求める資料がすぐに提示できるよう、紙とデータの両方で整理しておくとスムーズです。
「無予告調査」はある?突然の訪問への対応
一部例外として、税務署が事前連絡なしで訪問する「無予告調査」を行うこともあります。ただしこれは、悪質な脱税の疑いが強いケースや証拠隠滅の恐れがある場合など、特殊な状況に限定されます。
一般的な中小企業や個人事業主様に対して行われるのは、あくまで事前通知ありの任意調査がほとんどです。
仮に突然調査官が訪問してきた場合でも、納税者に即時対応の義務はありません。その場で慌てず、「税理士に連絡したいので時間をください」と伝えることで、税理士の立ち会いを求めることが可能です。
税務調査は任意であり、調査官が勝手に帳簿やデータを閲覧することはできません(※ただし、裁判所の令状がある「強制調査」は除く)。
税務署との対応に不安がある場合は、スポットでも構いませんので、税務調査に対応できる税理士へ早めに相談することをおすすめします。
「決算のみ 税理士」サービスを利用していても、事前に連絡体制や資料管理を整えておけば、調査時も落ち着いて対応できます。
税務調査当日の流れと対応ポイント
税務署から事前通知を受けた調査日当日になると、原則として調査官2名程度が指定の場所(事務所・自宅・店舗など)を訪問し、税務調査が開始されます。多くのケースでは、午前10時頃に調査が始まり、夕方まで続く1日作業です。
調査日数は事業内容や帳簿状況によって異なりますが、実務上は6割程度が1日~2日で完了しており、年商2,000万円超の小規模事業者様の場合も、通常は1〜2日間で終わるのが一般的です。
① 事業概要のヒアリングからスタート
調査当日の冒頭では、まず事業内容のヒアリングが行われます。これは、調査官が帳簿を確認する前に、事業の実態を把握するための重要なステップです。
たとえば、以下のような質問が想定されます:
- 主に取り扱っている商品やサービスの内容
- 主要な仕入れ先や販売チャネル(EC、店舗、取引先など)
- 事務所や在庫の所在地、保管状況
- 使用している会計ソフト(freee、マネーフォワードなど)とその運用方法
- 従業員や家族の就労状況(家族従業員も含む)
このような説明をスムーズに行うために、会社案内・商品パンフレット・組織図・業務フロー図などを事前に用意しておくと非常に効果的です。
法人であれば、自社Webサイトのコピーや取引先一覧などの簡単な資料もあると、調査官にとってビジネスの全体像が把握しやすくなり、余計な質問を減らす効果もあります。
② 具体的な帳簿や書類の調査
午後からは、午前中のヒアリング内容を踏まえ、具体的な帳簿や書類の調査に入ります。調査官が確認する主なチェックポイントは以下のとおりです。
- 売上の計上漏れがないか
税務署が特に重視するのは、申告された売上と実際の取引履歴が一致しているかという点です。売上台帳や請求書、銀行の入金履歴と申告額を突き合わせ、漏れがないかを確認されます。
ネット販売やクラウド請求書を利用している事業者様は、Amazon・楽天などの管理画面にある売上レポートや取引明細の提示を求められることもあります。
freeeやマネーフォワードの利用者の場合、データの出力形式や一部同期ミスにも注意が必要です。
- 売上計上時期のズレ
売上を本来の発生年度から翌期以降に意図的にずらす(期ズレ)行為は、調査で必ず確認されるポイントです。
具体的には、請求書の発行日、入金日、会計ソフトへの仕訳日が一致しているかをチェックされます。たとえば、12月末の売上を1月に計上しているようなケースは、「意図的な期ズレ」として指摘される可能性があります。
- 仕入・在庫と帳簿の整合性
物販系ビジネスにおいては、期末の在庫と仕入内容の整合性が重要視されます。
たとえば、在庫として残っている商品がすでに「仕入」として費用計上されていないか、在庫棚卸表・在庫リストと会計帳簿が一致しているかが確認されます。
在庫管理が曖昧だと、原価が不適正に膨らみ、結果的に利益を少なく見せることになりかねません。freeeやマネーフォワードでは、外部の在庫管理ツールと連携しているケースもあるため、連動データの管理精度にも注意が必要です。
- 経費計上の妥当性
交通費・通信費・ガソリン代・消耗品・外注費など、日常的に発生する経費の中にプライベートな支出が混在していないかを調査されます。
特にチェックが厳しいのは、人件費(家族やアルバイトに対する給与)と交際費(飲食などの接待費)です。
たとえば「実際に働いていない家族に給与を支払っていないか」「給与計算が正しく行われているか」「私的な食事を経費として計上していないか」など、具体的な支払いの根拠を求められることもあります。
freeeやマネーフォワードでは勘定科目の自動提案による誤分類も多いため、科目の見直しも定期的に行うことが望ましいです。
- 帳簿・証憑書類の管理状況
調査では、帳簿や証憑(領収書・請求書・契約書など)の保存状態や管理体制もチェックされます。青色申告の場合は、複式簿記の帳簿・決算書・総勘定元帳などが揃っている必要があります。
freeeやマネーフォワードを利用している場合、データ保存だけでなく「いつでもすぐ提示できる状態かどうか」も重要です。
紙ベースでのファイリング、またはクラウド上での整理(領収書の添付・メモの記録など)も見直しておきましょう。
調査官は、これらの項目を通じて「申告内容が事業の実態と一致しているか」を判断します。
「決算のみ税理士」に依頼している場合、期中の記帳や証憑管理を自社で行っている分、提出書類の正確さや説明の一貫性が特に重要です。
不安な点がある場合は、調査前にスポットで相談できる税理士に依頼し、事前チェックや立ち会いサポートを受けるのも有効な対策です。
調査官は帳簿や証憑書類を確認しながら、疑問点があればその場で事業主様や経理担当者に質問を投げかけてきます。回答者は、法人の場合は代表者または経理責任者、個人事業主であれば本人が対応するのが一般的です。
よくある質問例としては、次のような内容があります:
- 「この旅費交通費は、どこへの出張に伴う支出ですか?」
- 「この商品の仕入先は具体的にどちらですか?」
- 「この在庫は現在どこに保管されていますか?棚卸記録はありますか?」
こうしたやり取りは、申告書や会計帳簿と実際の取引内容に齟齬がないかを確認する目的で行われます。
freeeやマネーフォワードなどのクラウド会計ソフトを使っている場合は、仕訳の根拠や証憑ファイル(レシートや請求書の添付)をその場で確認できるように準備しておくとスムーズです。
なお、その場で正確に答えられない質問については、「後日資料でご説明します」と回答して問題ありません。ただし、曖昧な返答が続くと調査官に疑念を抱かれる可能性もあるため、可能な範囲で即答できるよう、よくある質問を想定した準備をしておくことが重要です。
法人化している場合のチェックポイント
法人の場合、個人事業主と比較して税務調査で確認されるポイントが追加されます。以下は、税務署が法人に対して特に注視する代表的な項目です。
- 役員報酬の適正性
法人税の観点から、役員報酬は非常に重要な調査ポイントです。利益調整の手段として使われやすいため、支給の実態と税務処理が適正かどうかを細かく確認されます。
調査では主に次のような点を確認されます:
- 報酬が毎月一定で支払われているか(定期同額給与)
- 期中に事前届出なく金額を変更していないか(臨時増額の有無)
- 非常勤役員への報酬額が業務内容に見合っているか
- 会社名義のクレジットカードで役員の私的支出をしていないか
とくに「社長の生活費を会社経費として処理していないか」は調査官が注目する項目です。freeeやマネーフォワードのカード明細連携を活用している場合でも、事業用と私用の分類が正確に行われているか再確認が必要です。
- 交際費や福利厚生費の妥当性
接待費や交際費についても、支出の名目や実態が事業に関連しているかを調査されます。中小企業では、経営者個人の飲食代や家族との私的な会食が法人経費に混在してしまっているケースも見受けられます。
チェックされるポイントには次のようなものがあります:
- 誰との会食だったか、目的が明確か(取引先との関係性)
- 領収書に参加者名・内容・日付が記載されているか
- 金額・回数が業務内容に照らして不自然でないか
福利厚生費として計上している費用についても、「全従業員が公平に利用しているか」が問われます。
- 貸付金・借入金などの資産計上内容
法人の貸借対照表に記載された「役員貸付金」「仮払金」などの資産科目も、税務調査で頻繁に確認されるポイントです。これらは、実質的に役員個人への利益供与と見なされるリスクがあります。
たとえば:
- 社長が会社の資金を私的に引き出していないか
- 借入金の返済計画が不明確で放置されていないか
- 棚卸資産や固定資産が期末に不自然に増加していないか(節税目的の過剰購入)
freeeやマネーフォワードで決算書を自動作成している場合も、「勘定科目の分類」と「実態とのズレ」がないか注意が必要です。
税務調査では、帳簿上の数値だけでなく、実際の取引・経営の実態との整合性が重要視されます。
調査初日の終わりには、調査官から「当日判明した事項」や「追加で提出が必要な資料」についてフィードバックがあり、提出期限もあわせて指定されます。その際に慌てないよう、調査前に帳簿や証憑を整理しておくと安心です。
調査が複数日にわたる場合は、初日の調査で指摘された内容に対応するための資料を準備し、翌日以降の調査に備える必要があります。帳簿や証憑の再確認、不足書類の収集などを行い、次回の調査時に円滑な対応ができるようにしましょう。
全日程の調査が完了すると、後日、税務署から調査結果の通知や指摘事項の説明(いわゆる「結果説明」)を受ける流れとなります(詳細は別項にて解説します)。
当日の対応で注意すべきポイント
税務調査において最も大切なのは、誠実で協力的な姿勢を示すことです。
調査官に対して無愛想な対応をしたり、質問に対してあいまいな返答を繰り返したりすると、調査官の心証が悪化し、結果的に調査が長引いたり、厳しい追及を受ける可能性が高まります。
次の点を意識して対応しましょう:
- 質問にはできる限り正確に回答する
- 要求された資料は迅速に提示する
- すぐに答えられない場合は「後日提出」と伝えて問題なし
- 憶測で適当な返答をしない(誤情報の提供はリスクにつながる)
freeeやマネーフォワードをご利用の場合、取引内容を記録した証憑(レシート画像、請求書PDFなど)を画面上で提示できるよう事前に準備しておくと、対応がスムーズになります。
税理士の立ち会いは安心材料に
また、可能であれば税理士の立ち会いを依頼することをおすすめします。とくに税務調査に不慣れな事業者様にとって、税理士は次のような場面で力を発揮します:
- 調査官からの専門的な質問に対する回答代行
- 会計処理や税法の解釈に関する説明の補足
- 不当な指摘や見解に対する反論や交渉
- 精神的なプレッシャーの緩和
顧問契約がない場合でも、「決算のみ 税理士」でもスポットでの立ち会い対応が可能な税理士であれば、費用を抑えながら安心して調査に臨めます。
税務調査の対応は、「準備」と「姿勢」が結果を左右します。不明点や不安がある場合は、早めに専門家へ相談し、万全の体制で臨むことをおすすめします。
3. 税理士が教える税務調査の対応策:必要書類の準備と適切な受け答え
税務調査において重要なのは、事前準備の精度と当日の落ち着いた対応です。
特に「決算のみ 税理士」を利用されている場合、日々の経理や資料管理はご自身で行っているケースが多いため、書類の整理と受け答えの準備が万全かどうかが調査結果に大きく影響します。
ここでは、税理士の視点から、調査前に準備しておくべき書類と、調査当日の質問対応のコツを解説します。
税務調査前に準備しておくべき主な書類一覧
税務署から事前通知を受けたら、調査までに必要な書類を整理しておきましょう。基本的には直近3年分の資料が対象になりますが、重加算税が絡むケースでは最大7年分の提出を求められる可能性もあります。
- 売上に関する資料
- 売上台帳、請求書(控え含む)、見積書、受注書、契約書、領収書など
- ネット販売を行っている場合:Amazonや楽天の売上レポートや入金明細の印刷物
- 発送実績の裏付け:発送伝票の控えや運送会社の送り状
※freee・マネーフォワード等のクラウド会計ソフト利用時は、データ保存場所と出力方法も確認しておきましょう。
- 仕入・経費に関する資料
- 仕入台帳、発注書、納品書、領収書(仕入先から)、請求書(仕入先から)など
- クレジットカード明細・ネットバンキングの支払履歴
- 領収書がない取引(例:現金仕入れやフリマアプリ等)は日付・金額・取引内容を記録したメモで補足
- 棚卸表や在庫明細表(物販業の方は必須)
- 通帳や現金出納帳のコピー
- 事業用口座の通帳(過去数年分)
- ネットバンキングの取引履歴(ダウンロード可)
- 現金出納帳(日々の現金収支がある業態は特に重要)
- 人件費・給与関係の書類(該当する場合)
- 労働者名簿、勤怠管理表(タイムカードやシフト表)
- 給与明細、源泉徴収簿、年末調整書類
- 家族従業員の場合は、「どのような作業をしていたか」の簡単な業務記録を添えると効果的
- その他経費に関する補足書類
- 車両費 → 車検証(事業用車かどうか確認)
- 地代家賃 → 賃貸借契約書(事務所や倉庫の利用実態を証明)
- 保険料 → 保険証券や支払い証明
- 減価償却対象 → 固定資産台帳、購入時の契約書・請求書
これらの資料は、科目ごとにファイルやフォルダで分けて整理しておくと、当日のやり取りがスムーズです。
パソコン上のデータで保管している場合は、すぐ提示できるようにフォルダ構成を整備し、必要に応じて紙でも印刷しておける体制にしておくと安心です。
実践アドバイス:freeeやマネーフォワード利用者向け
クラウド会計ソフトをご利用の事業者様は、帳簿と証憑(請求書・レシート等)の紐づけが不十分になりがちです。
調査当日に「この仕訳の根拠となる証憑を見せてください」と言われたとき、明細と書類がセットで提示できるかどうかが重要な評価ポイントとなります。
freee・マネーフォワードでは、スマホ撮影やデータ添付機能を活用し、帳簿と証憑を一元管理しておくことをおすすめします。添付漏れや誤分類がある場合は、事前にチェック・修正を行っておきましょう。
ご希望に応じて、「事前準備チェックリスト」や「調査対応マニュアル(freee・MF版)」のひな形もご提供可能です。
スポット対応も含め、税務調査の準備や立ち会いをご希望の際は、加美税理士事務所までお気軽にご相談ください。費用を抑えつつ、安心できる調査対応を実現できます。
調査官の質問への適切な受け答え
税務調査当日は、調査官からさまざまな質問を受けます。その受け答えの内容や態度によって、調査官の印象が大きく左右されることも珍しくありません。以下のポイントを押さえて、落ち着いて対応しましょう。
- 聞かれたことに正確・簡潔に答える
調査官の質問には、事実ベースで正確かつ端的に答えることが基本です。
たとえば「はい/いいえ」で答えられる質問には、それだけで返答し、補足が必要な場合のみ簡潔に説明を加えましょう。
曖昧な返答や推測に基づいた説明は、誤解や調査の長期化につながるリスクがあります。
意図が分からない場合は「どういった意味でしょうか?」と率直に確認して問題ありません。調査官の目的はあくまで「正しい税額の確認」であり、敵対する存在ではありません。
- 必要書類はすぐに提示できるよう準備
「この領収書を見せてください」「この帳簿の明細を確認したいです」など、具体的な資料の提示を求められる場面も多くあります。
あらかじめファイリングやデータ整理をしておけば、スムーズに取り出して提示できます。
モタモタ探す姿勢や、提出を渋るような態度は、調査官に「不正を隠しているのでは?」と勘繰られるきっかけにもなりかねません。freeeやマネーフォワード等のクラウド会計を使っている場合も、該当データの所在やプリントアウト準備を事前に確認しておきましょう。
- 知らないことは素直に認める
たとえば税務処理の判断や仕訳の根拠など、専門的な内容について質問された場合、自分で無理に答えようとせず、
「税理士に確認します」「資料を整えて後ほど提出いたします」と誠実に伝えましょう。
間違った情報をその場で伝えてしまい、後から訂正する方が心証を悪くする場合があります。
税務調査は1日で完結するものではなく、数日~数週間をかけて進行するプロセスです。即答できないことは無理せず、丁寧に対応するのが得策です。
- 専門的な対応は税理士に任せる
税務調査に税理士が立ち会っている場合は、帳簿や申告書の作成根拠など、技術的・専門的な質問は税理士に任せましょう。
事業主様ご自身は、事業内容や業務フローといった「実態」に関する説明に集中すれば問題ありません。
税理士は、言わば「通訳」や「クッション材」のような役割も果たします。調査官との緊張感あるやり取りも、専門家が入ることで落ち着いて進めることができます。
- 感情的にならず冷静に対応する
厳しい指摘を受けた際や、心外な疑いをかけられたときに、つい感情的になってしまうこともあるかもしれません。
しかし、怒りや動揺は逆効果です。誠実な姿勢で、資料や根拠をもとに粛々と説明することが、調査官の信頼を得る近道です。
あくまでビジネスライクに、「専門家と公的機関のやり取り」として冷静に対応することを心がけましょう。
税務調査の現場では、「対応の姿勢」そのものが大きな判断材料になる場面もあります。
「決算のみ税理士」をご利用中でも、調査時にはスポット相談や立ち会い依頼が可能な税理士を選ぶことで、安心して臨むことができます。
不安な場合は、事前にやり取りのロールプレイや想定問答を準備することもおすすめです。
ご希望があれば、「税務調査想定Q&A集」「調査官がよく聞く質問とその意図」などもご提供可能です。お気軽にご相談ください。
税理士が行う高度な防衛策(事前チェックや修正申告の活用など)
税務調査における不安やリスクを軽減するために、税理士が提供できるより専門的で効果的な対策をご紹介します。
決算のみの税務サービスをご利用の場合でも、必要に応じてスポット契約で対応できる対策も多く、費用を抑えながら税務リスクに備えることが可能です。
- 事前税務監査(模擬調査)によるリスク洗い出し
税理士が事業者様の過去の帳簿や申告書をチェックし、税務署の視点を想定して疑問点や指摘されそうな項目を洗い出すサービスです。
いわば「模擬税務調査」のようなもので、帳簿の記載方法や領収書の不備、仕訳の判断ミスなどを事前に発見できます。
たとえば、freeeやマネーフォワードでの自動仕訳の内容を精査し、「この経費は証憑が弱い」「この科目の金額は業種の相場から乖離している」など、具体的な改善アドバイスが可能です。
調査が始まる前に準備できることは多く、早めの対応が調査全体の負担軽減につながります。
- 自主的な修正申告でペナルティを回避
仮に申告漏れや経費の誤りなどが発見された場合、税務署からの連絡が来る前に自ら修正申告を行うことで、過少申告加算税(罰金的な税金)を回避できる可能性があります。
特にfreeeやマネーフォワードなどのクラウド会計を用いている事業者様では、仕訳ミスや勘定科目の誤適用が見つかるケースも少なくありません。
そのような場合、税理士が内容を精査し、必要に応じて迅速に修正申告を提出することで、延滞税の負担を最小限に抑えることができます。
「気づいた時点で動く」ことが、将来のコスト削減につながります。
- 調査当日の立会い・対応のサポート
税務調査当日に税理士が同席することで、質問対応や帳簿の説明、調査官との交渉を安心して任せることが可能です。
たとえば、「この交際費の使途は業務に関連していますか?」「この役員報酬は適正ですか?」といった質問が出た場合でも、税理士が根拠を示しながら説明し、過度な追及を回避できます。
また、見解が分かれる論点では、税務署とのやり取りを税理士が引き取り、専門的な観点から交渉の着地点を探る役割も担います。
- 税法の解釈に関する専門対応
税務調査では、「この収入は事業所得か雑所得か」「この支出は必要経費として認められるか」といったグレーゾーンの判断が問われるケースがあります。
こうした論点では、税理士が国税庁の通達や過去の判例などを基に根拠を提示し、有利な取り扱いへ導くサポートを行います。
税務署と対等に交渉できるのは、税法に精通した専門家である税理士だからこそ可能な対応です。
税理士は、事前の準備から調査対応、事後の修正処理まで、一貫して税務調査の負担を軽減する支援を行います。
決算のみのご依頼であっても、スポット対応や追加支援など柔軟なサポート体制が整っている事務所も存在します。
費用を抑えつつも、必要な場面で専門家の力を借りることで、安心かつ効果的なリスク管理が可能になります。
税務調査に不安がある方は、まずは「現状のチェックだけでもお願いしたい」といった形でも問題ありません。
お気軽にご相談ください。
4. 税務調査後のフォロー:追徴課税への対応と再発防止策
税務調査が終了すると、指摘された項目に対して修正申告や追徴課税の支払いといった対応が求められることがあります。しかし、それだけで終わらせず、再発防止の対策までしっかり講じることが、今後の経営にとって大切です。
ここでは、調査後に必要となる手続きと注意点を、税理士の視点から解説します。
追徴課税の種類と対応方法
税務調査で「申告漏れ」「記帳ミス」などが発覚した場合は、本来納めるべき税金(本税)に加え、ペナルティ的な追加税=「追徴課税」が発生する可能性があります。
主な加算税の種類と概要は以下の通りです:
- 延滞税(税金を遅れて納めた際の利息)
納付期限までに税金を納めていなかった場合、その遅延期間に応じて延滞税が加算されます。
たとえば調査の結果、2年前の所得税に追加納税が必要となった場合、日割で高めの利率(令和5年現在、2ヶ月以内7.3%、それ以降14.6%)で延滞税がかかります。
追徴金額の通知が届いたら、早めに納付することが延滞税の膨張を防ぐカギです。
- 過少申告加算税(申告はしたが、税額が不足していた場合)
すでに確定申告をしていたものの、調査で誤りが判明した場合に課される加算税です。
調査中に自主的に修正申告を行えば加算税率は5%程度に抑えられますが、税務署の指摘に基づいて修正した場合は10%(または15%)が追加されることもあります。
例えば、追加で100万円の納税が必要となった場合、加算税は10万円~15万円が上乗せされる形です。
- 無申告加算税(そもそも申告していなかった場合)
もし確定申告自体を提出していなかった場合、無申告加算税が課されます。
期限後に自主的に提出すれば加算税は5%で済む可能性もありますが、調査で判明した場合には10%以上になることも。
決算のみ依頼されている方の中には、過去に申告漏れの年があることに気づいていないケースも見られます。早めに状況を把握し、必要に応じて修正対応を行いましょう。
- 重加算税(悪質な隠蔽や仮装がある場合)
二重帳簿をつけていたり、架空の領収書で経費を水増ししていたりといった、明らかに不正と判断される行為がある場合、重加算税として本税の最大40%が加算されます。
この場合は脱税とみなされ、刑事告発の対象となることもあります。通常の事業者様でこのような重加算税が適用されるケースはまれですが、経費処理のずさんさが誤解を招かないよう、日々の帳簿管理には十分注意が必要です。
調査結果に応じた対応が必要なときは、専門家である税理士と連携し、できるだけ速やかに適正な手続きを進めましょう。特にfreeeやマネーフォワードなどのクラウド会計を使っている場合でも、自動仕訳任せで見落としが生じることはよくあるため、税理士による決算チェックは再発防止に効果的です。
次回以降の調査で同じ指摘を受けないためにも、「なぜ修正が必要だったのか」「今後どう記帳すべきか」まで確認し、業務の見直しや会計フローの整備につなげていくことをおすすめします。
ご希望があれば、「修正申告書の作成代行」や「事後レポート作成」「freee・マネーフォワードの仕訳見直し」なども対応可能ですので、お気軽にご相談ください。
税務調査の結果通知と納付対応について
税務調査の結果、税務署からは更正通知書または決定通知書といった正式な書類が届きます。これには、法人税や消費税などの本税に加え、過少申告加算税や延滞税などの追徴税額が明細として記載されています。通知内容をしっかりと確認し、記載された納付期限までに納税を行いましょう。
もしも資金繰りの都合で一括納付が難しい場合は、税務署に相談することで分割納付や納税猶予といった柔軟な対応を受けられるケースもあります。たとえば、「一時的な売上減少により手元資金が不足している」「納税資金を確保するために融資の手続きを進めている」など、納税が困難な理由が明確であれば、最長1年間の納税猶予が認められる可能性もあります。条件としては、税額が1年以上前のものであることや、所定の申請書・担保の提出が求められることがあります。
納税に関する不安を放置すると、延滞税の加算や差押えといったリスクが高まります。対応が遅れる前に、まずは早めに所轄の税務署へ相談することが重要です。
なお、調査結果にどうしても納得がいかない場合は、異議申立て(不服申立て)や審査請求、訴訟といった法的手段を選ぶことも可能です。ただし、これらは時間や費用の負担が大きく、特に年一決算のように税理士との継続的な顧問契約を結んでいない法人や小規模事業者様にとっては、現実的に選びにくい選択肢となることが多いです。
実際には、税務調査での指摘内容が税法の重大な誤解や明確なミスに該当しない限り、結果を覆すのは難しいのが実情です。そのため、費用対効果や今後の経営改善を考慮し、税理士と相談のうえで追徴税を受け入れ、再発防止の体制づくりに注力することをおすすめします。
たとえば、会計ソフト(freeeやマネーフォワードなど)をフル活用してさらなる記帳体制を整える、取引先との領収書のやり取りをルール化する、仕訳の見直しや帳簿保存の徹底を図るなど、「税務リスクの見える化」や「経理の効率化」に取り組むことで、次回の税務調査にも強い会社づくりが可能です。
調査後の再発防止策:内部管理体制の見直しと改善
税務調査により指摘や修正があった場合、それは単なる「ミスの指摘」ではなく、今後の税務対応を改善するための貴重なヒントです。一度調査が入ったからといって油断するのではなく、再発防止の視点から、社内の業務フローや管理体制を見直す機会と捉えましょう。
社内での振り返りと業務改善
まずは、税務署からの指摘内容を関係者と共有し、根本原因の特定と改善策の立案を行います。
たとえば、
- 売上の計上漏れがあった → 受注〜入金までの流れを可視化し、二重チェックを導入
- 経費の処理ミスがあった → 領収書の回収ルールや会計ソフト(例:freee、マネーフォワード)への入力フローを整備
といったように、原因と対策をセットで整理することが重要です。とくに、freeeやマネーフォワードなどクラウド会計ソフトを導入している法人様は、経理データの入力ミスを未然に防ぐ設定や仕訳ルールの見直しも効果的です。
また、調査結果を経営者や従業員と共有することで、全社的な税務リスクへの意識向上にもつながります。特に中小企業や小規模法人では、現場のスタッフが領収書や請求書の重要性を十分に理解していないケースも多いため、実務に即した教育の機会として活用するとよいでしょう。
内部統制とチェック体制の強化
たとえ顧問契約を結んでいなくても、年一決算で税理士へ依頼している法人様でも、簡易的な内部統制を導入することは十分可能です。具体的な再発防止策としては:
- 入出金の管理を複数人でチェック(ワンオペ経理の回避)
- 経費精算ルールや帳簿の保管方法を明文化
- 会計データの定期的なチェックと月次レビューの仕組み化
- 在庫棚卸の定期実施と帳簿との整合性確認
などが挙げられます。これらはすべて将来的な税務リスクの削減や税務調査対応の強化につながる施策です。
仮に売上漏れが指摘された場合であれば、受注管理、納品、請求、入金までの一連の流れを見直し、どこで漏れが発生しうるかを把握し、チェックポイントを設けるといった対策が現実的です。
税務コンプライアンス意識の定着
再発防止のもう一つの柱は、経営者自身の税務コンプライアンスへの理解と関心です。たとえば、
- 「この処理は税務上NGなんだ」
- 「この書類がないと経費にできないんだ」
といった税務の基本知識を社内で共有するだけでも、将来的なミスの予防につながります。また、インボイス制度(適格請求書保存方式)や電子帳簿保存法など、近年は税制改正も頻繁に行われているため、定期的な情報のアップデートも欠かせません。
もし自社で対応が難しい場合は、「決算のみ対応の税理士」にスポット的に相談したり、freee認定アドバイザーなどの外部の専門家に依頼する方法もあります。コストを抑えつつ専門的な支援を受けることで、安心感と効率の両立が可能になります。
税理士との継続的な関与の重要性
税務調査が終わった後も、税理士との関係を継続することは非常に重要です。調査が無事に完了したからといって、「もう税理士は不要」と顧問契約を解除してしまうのは、かえって将来的なリスクを高めてしまう可能性があります。
むしろ、税務調査を通じて税理士の必要性や専門性を実感された方も多いのではないでしょうか。税理士は調査で指摘された内容について原因を分析し、帳簿・仕訳・会計処理の見直しや再発防止策の提案を行います。たとえば、
- 「在庫の管理はこう見直しましょう」
- 「交際費の扱いは明確なルールを設けましょう」
といった具体的なアドバイスを通じて、日々の経理処理を改善へ導いてくれます。
このような助言をもとに、会計ソフト(freeeやマネーフォワードなど)や帳簿の運用を見直していけば、次回以降の税務調査のリスクを大幅に減らすことが可能です。
継続契約で得られる「安心」と「コスト以上の価値」
税理士と継続して契約していれば、定期的な帳簿チェックや決算前の処理確認、年一回のミニレビュー(簡易的な税務監査のようなもの)を依頼できます。小さなミスも早期に発見・修正できるため、大きな修正申告やペナルティを未然に防ぐことにつながります。
とくに「決算のみ 税理士」や「年一決算 税理士」のように、スポットで税務代行を依頼したい方にとっても、必要に応じて税務チェックを組み合わせることで、高いコストパフォーマンスを実現できます。顧問契約が不要な分、費用を抑えながらも税務の安心感を得たい事業者様におすすめの活用法です。
税制改正・節税など、経営判断への支援
税制は毎年のように改正され、消費税のインボイス制度や電子帳簿保存法のように、経理業務に直接影響を与える制度変更も増えています。税理士は、そうした最新の情報をもとに、
- 節税につながる取引のタイミング
- 助成金・補助金の活用法
など、経営全体に関わる判断においても有益なアドバイスを提供できます。
経営者が本業に集中するためには、税務や会計はプロに任せるという選択が結果的に合理的です。数字のプロである税理士と適度な距離感で関与を続けることで、事業運営の不安や手間を大きく軽減できます。
次回の税務調査にも備えた体制づくり
税務調査は一度で終わりではありません。一般的には5年前後の周期で再調査が行われる可能性があります。その際、継続して税理士が関与している事業者であれば、過去の調査記録や改善内容を把握しており、調査対応もスムーズかつ的確に進められます。
税務調査はどの法人・事業者様にとっても負担になるものですが、適切な帳簿管理と専門家のサポート体制を整えておけば、必要以上に恐れるものではありません。freeeやマネーフォワードのようなクラウド会計ソフトとの連携も含め、業務効率化と税務リスク低減の両立を図りながら、安心して事業の成長に集中していただければと思います。
FAQ よくあるご質問
決算のみを依頼した場合において、将来税務調査が入ったときに税理士による立会を依頼することはできますか?
はい、税務調査の立会を承ります。遠方のお客様の場合は、Webミーティングソフトを活用したオンライン立会も可能です。
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